季節の薬木②冬-ビワ- (124)

 家の小さな前庭に一本のビワの木があります。
 今から18年前に中古で家を購入しました。その時まで、一度も実がならなかったと聞いていたビワが、花芽をつけ、5月には多くの実を実らせました。
 そろそろ食べ時かなと思ってみますと、多くの実はヒヨドリについばまれていました。次の年には、ネットを張り、鳥からの被害を防ぎました。すると、次の年には実りが少なくなりました。
 そんなことを何回か繰り返しているうちに、気が付いたことがあります。人と鳥との共存です。人間が実を食べると、その種はごみとして捨てられますが、鳥たちがついばむと、種は実からこぼれて、地面から新しい命を育みます。数年たつと、多くの若木が育っていました。ビワにとっては、人間様が食すより、鳥たちに食してもらったほうがどんなにうれしいことでしょう。そんなことを思った時から、ビワの実がなると、ちょっとおすそ分けをいただくことにしています。
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ビワはインドから中国の南部にかけてが原産地です。3000年前から仏教医学の中にビワの葉療法が取り入れられ、多くの治療に用いられてきました。

日本においては、江戸時代に「枇杷葉湯」として、夏の暑気払いに盛んに愛飲されました。 てんびん棒を肩に、「本家烏丸の枇杷葉湯、第一暑気払いと霍乱(急性下痢)、毎年五月節句よりご披露つかまつります」と口上を述べながら売り歩くさまは、大江戸や京浪花の夏の風物詩だったようです。
「枇杷葉湯」はビワの葉に肉桂、藿香、莪述、呉茱萸、木香、甘草などの気を巡らす薬を同量混ぜて煎じたものです。

生薬の枇杷葉は、青々とした新鮮な葉の表面の柔毛をタワシなどで取り除き、水洗いして乾燥したものです。
有効成分として、ガン治療薬のアミグダリン(ビタミンB17)、精油、サポニン、ビタミンB1,ブドウ糖、クエン酸などを含み、酸性の血液を弱アルカリ性血液に変え、自然治癒力を促進する作用があるとされ、咳止め、暑気あたり、胃腸病、高血圧、糖尿病、リウマチなどに用いられています。

外用では、ビワ葉を火であぶるとビワ葉中のアミグダリンとエルムシンが反応して微量の青酸が発生し、それが皮膚から吸収され、多くの効果が発揮すると考えられています。
皮膚炎、やけど、水虫、ねんざにはアルコールエキスを塗布します。
ビワの果実はホワイトリカーに漬け、ビワ酒として疲労回復や食欲増進に飲まれています

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