童謡「里の秋」と栗 (142)

 秋が深まり、ホカホカした天津栗が露店で匂いを放つ頃になると、童謡「里の秋」の歌詞が思いだされます。
   静かな 静かな 里の秋 
   お背戸に木の実の 落ちる夜は
   ああ母さんとただ二人
   栗の実煮てます いろりばた
 
 栗の実には、胃腸の働きを高めたり、血流の改善効果や止瀉作用がありますが、更に老化防止の効果もあり、加齢による足腰の衰えや頻尿、難聴、耳鳴りなどの改善も期待できます。また、火傷やうるしかぶれに、樹皮や葉、毬(いが)を水で煮詰めたあと、冷ましてから、この汁で患部を洗えば効果があります。

 さて、話を童謡「里の秋」に戻します。普段、前述の歌詞しか歌いませんし、覚えてもいませんが、静かな人里の風景が心に浸み渡るようで、気持ちが落ち着きます。ただ、なぜ「母さんとただ二人」なのかが気になりました。
 二番目の歌詞にヒントがありました。
   あかるい あかるい 星の空
   鳴き鳴き夜鴨の わたる夜は
   ああ父さんの あの笑顔
   栗の実食べては 思いだす
 歌詞から想像すると、お父さんは単身赴任か出稼ぎでいないのか、もしかしたら、亡くなられたのかもしれません。少し、寂しい雰囲気が漂っています。

 しかし、三番目の歌詞で、状況がはっきりします。
   さよなら さよなら 椰子の島
   おふねにゆられて 帰られる
   ああ父さんよ ごぶじでと
   今夜も母さんと 祈ります
 南の戦地に赴いたお父さんが、無事にきて帰ってきてほしいと思う子供の願いを託す歌だったのですね。

 終戦後70年経っても、当時大流行したこの「里の秋」を忘れてはいけないのだと思わずにいられません。

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