危険ドラッグと麻黄 (140)

 最近、「脱法ドラッグ」による交通事故が多発し、大きな社会問題になっているが、警察庁と厚生労働省はこの7月に「脱法ドラッグ」の名称を「危険ドラッグ」に替え、使用の注意を促している。
 これらに含まれる薬物は、従来の向精神薬とは違った新規向精神薬で、1999年までは「合法ドラッグ」と呼ばれ、法律で取り締まれない安全ドラッグの印象が強かった。2000年ごろからは、「脱法ドラッグ」の用語が使われ始めたのは、市場品の買い上げ調査の結果、医薬品に相当する成分も含まれていたことよる。
この「危険ドラッグ」の定義は「規制された薬物と同様の作用があるが、規制された薬物でないことを標榜している薬物であり、規制薬物を含む場合もある」としている。

 薬物は「合成カンナビノイド」が大半を占めている。合成カンナビノイドとは、大麻の成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)に似せて合成されたものである。
中には、薬効のあるハーブ類が含まれることがあり、ガラナのような強壮剤、マオウ(麻黄)のような興奮剤、マジックマッシュルームなどがある。
特に、ここで取り上げるのは、生薬マオウ(麻黄)である。
マオウはマオウ科のマオウ属に属し、50種ほどが知られている。アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、南北アメリカの乾燥地帯に分布する砂漠の植物で、日本には野はない。
マオウは、日本薬局方に収載されている生薬でエフェドリン及びプソイドエフェドリンの総アルカロイドが0.7%以上含むとされている。エフェドリンは多くの国で規制物質となっていて、日本でも、質量比10%を超えると、覚せい剤原料として規制されている。
マオウやその主成分のエフェドリンは、咳止めや発汗剤として、多くのかぜ薬に含まれているが、交感神経興奮作用のあることから、スポーツ競技のドーピング薬物に指定されている。漢方薬は安全だと、風邪に葛根湯(麻黄配合)を服用して、ドーピングに引っかかった選手は数多くいた。
 漢方で用いられる麻黄は、「苦温、表を発して汗を出し、邪気の気を去り、欬逆上気を止め、寒熱を除く。傷寒を療し、肌を解すること第一なり」と古典にある。他の生薬との組み合わせで、多くの効果を表すが、その一つは利水剤(体液のコントロール)としての位置付である。桂枝があれば発表・発汗、石膏との組み合わせで止汗、杏仁と組めば喘に効く。
 マオウだけでないが、薬物の本来の目的にそぐわない使い方は、多くのリスク(クスリの逆)を背負い込むことになる。(写真は植物のマオウ)
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