人参果と朝鮮人参 (134)

5月17日の読売新聞の朝刊の「編集手帳」に「人参果」の話が載っていました。「西遊記」に、においを嗅ぐだけで360年も長きできる果物として登場します。三蔵法師が万寿山の仙人を訪ねた折、振る舞われた果物ですが、その形が、あまりにも赤ん坊の姿をしていたので食べられなかったとあります。正名は、「万寿草還丹(まんじゅそうかんたん)」といい、三千年に一度花が咲き、三千年に一度実を結び、更に三千年たって熟すもので、一万年の間に三十個しかできず、一つ食べれば四万七千年生きる事ができるといわれています。また、もいでからしばらくすると堅くなって食べられなくなり、万寿山でしか賞味する事はできないそうです。
更に、人参果は「五行(木火土金水)」を忌むため、木に遭えば枯れ、火に遭えば焦げ、土に遭えば土の中に入り、金に遭えば落ち、水に遭えば溶るので、扱いが大変難しいものとされています。

 人参果は英名をGinsengfruitと言うことからも、人参は朝鮮人参を意味します。朝鮮人参のように長寿養命の食べ物ということでしょうか。
ここで、本来の人参果から話はそれますが、朝鮮人参について、少し筆を加えておきます。
朝鮮では朝鮮人参、高麗人参といい、中国では主産地の名から、吉林人参と呼びます。
日本では、江戸時代には朝鮮人参は人参又は「御種人蔘」と呼んでいました。「御種人蔘」の名は、八代将軍徳川吉宗が対馬藩に命じて朝鮮半島から種と苗を入手させ、試植の後各地の大名に「御種」を分け与えて栽培を奨励したことに由来すます。
明治に入ると、海外から、現在の野菜の赤い人参(キャロット)が入ってきて、西洋人参と呼ばれていたのですが、いつの間にか、西洋人参が人参と呼ばれようになり、本来の人参を朝鮮人参と呼ばざるを得なくなりました。なお、西洋人参の仲間で、従来から日本にあったのは金時人参です。

さて、この人参果は中国でしばしば市場に出回っているようです。
写真や紹介記事を見ますと、ナシの一品種のように思えますが、説明が異なっていて、はっきりしません。いくつかを紹介します。
① 人参果は、仙人果、延寿果などとも呼ばれ、チベット語では「高原の宝」という意味の名がつけられている。人参果は海抜1600-4200メートルの草原地帯、水辺に自生する植物で、ビタミン、蛋白質、鉄分などを多く含まれ、栄養価値が高いのでチベット僧侶達は断食の前によく食べています。生長量は少なく、青海省産のものが最も品質が良いとされている。
② 人参果は南アメリカ・アンデス山の北部原産の果物です。人体に必要な多種のミネラルを含む高栄養食品です。高たんぱく、低糖、低脂肪である他、ビタミンC、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、マンガン、コバルト、モリブデン、セレン等の多種類のミネラルを含んでおり、細胞の活性化、活力増強、癌予防、心血管系疾患の抑制等の作用を持っています。特に高血圧と糖尿病に効果が高く、「生命の火種」「抗癌の王様」と呼ばれています。人参果のカルシウム含有量はあらゆる野菜と果物の中で一番高く、生の状態で100gあたり910mgにも達し、カキの114倍、ウリの36.4倍もあります。したがって、人参果には人体の血中カルシウム量のバランスを保ち、カルシウム不足による骨粗しょう症を防ぎ、骨の増生を促進します。
年齢の高い方では、動脈硬化を予防し、中年、若年の方では体質改善に効果的です。人参果はまさに理想的な天然の栄養食品です。食べ方は生で食べても、野菜とあわせて料理しても良いし、ジュース等にも利用できます。
③ 人参果はオタネニンジンの果肉です。果肉には根と同じ有効成分が更に高濃度で含まれており、また最も有効とされる主成分サポニンの含有量は根の5倍もあり、他の有効成分は根の24倍以上も含まれていることが明らかになっています。(これは便乗の人参果のようです)

 本来の西遊記の人参果なら、ぜひとも食したいと思いますが、市場に出回っている人参果なら、何かの機会があればといったところでしょうか。体験者のアンケートではあまりおいしくないとの話もあるようですから。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック