季節の薬木④春-サクラ- (130)

 我がコーポタウンの中庭に大きな桜の木が2本ありますが、毛虫が葉を食べるザクザクした音がうるさい、多くの糞が地面に落ちて汚い、落ち葉の清掃が大変、敷き詰めたレンガを根っこが持ち上げる、排水溝まで根が張って詰まるなどの理由で、昨年の5月に枝打ちをしました。今年は、いつものようにたわわに花が咲きそうにもありません。
 昔から、桜の下には何かが住んでいるといわれ、「サクラ切るバカ、ウメ切らぬバカ」の諺もあるように、小さくなったサクラを少しさみしげに見上げています。 

 サクラは日本の国樹ですが、原産地はヒマラヤ近郊と考えられています。北半球の温帯に広範囲に分布し、日本にはかなり昔から、ヤマザクラ、オオシマザクラなどが固有種として自生をしています。

 ソメイヨシノは、オオシマザクラとエドヒガンからできた自然雑種です。大型で生長が早いことから、大抵の栽植はこのソメイヨシノです。江戸時代の末期、江戸の植木屋染井によって、はじめて売りに出されたことから、この命名がありますが、世界中のサクラの大半がこのソメイヨシノなのは驚きです。挿し木によって増やされました。
 挿し木で増やされた木は兄弟ですから、サクランボがなりません。
 ソメイヨシノは花の時期と葉の出る時期が異なっていますが、ヤマザクラは花と若葉は同時に出てきます。
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桜餅に包むサクラの葉にはクマリンが含まれています。クマリンは配糖体の形で多くの植物に含まれるポリフェノールの一種で、特有の香があるため香料として利用されるほか、医薬品(むくみ改善など)として使用されます。

 また、樹皮を薬の桜皮(オウヒ)と呼び、鎮咳去痰剤として使用するほか、世界で初めて乳がんの手術をした江戸時代の紀州の医師、華岡青洲が創生した皮膚疾患の漢方薬「十味敗毒湯」に、解熱、収斂を目的に配剤されています。 (写真:和歌山県華岡青洲の里)
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