紀伊半島ひとめぐり/牡蠣と奇岩 (118)

 福井地方をはじめとし日本列島が豪雪に見舞われた1月末、一泊どまりの紀伊半島一周のドライブに出かけました。堺から伊勢へは、普段は名阪自動車道を通って関ICで伊勢自動車道に乗り換えて向かうのですが、今回は、奈良大宇陀から、旧道の伊勢本街道をたどることにしました。奈良三重の県境に来るころから、雪が舞い始め、廻りは雪景色に変わってきました。通行にはチェーンやスノータイヤの装着を、との表示が点滅しています。もし駄目なら引き返せばよいと覚悟を決めて、走っていきますと、道は次第に細くなり、くねくね坂になりました。更に、対向車とすれ違うことも出来ない細道になり、何度もバックをし、崖の間際まで車を寄せてのすれ違いを繰り返しました。
 やっとのこと、三重県への下り坂になるころから、雪もなく、陽光も明るくなってきました。奈良から伊勢へのこの山越えは、昔は難渋の道だったことが思いやられました。

 今回の宿泊は紀伊長島です。尾鷲を東へ、30分の山越えですが、熊野灘に面したリアス式の美しい海岸線が続きます。黒潮の洗う南紀はさすがに暖かく、雪山を越えてきたものにはホッとした心の安らぎを感じたのです。
 宿では、地元紀北町の渡利カキ(牡蠣)と鳥羽の浦村カキの食べ比べが出ました。カキは、渡利は小ぶりで甘みがあり味がしっかりしたもので、浦村は塩味の少し大味なものでしたが、どちらもいける味でしたが、カキの食べ比べで地元の渡利カキを引き立たせるために、浦村カキを添えたとも思われ節が無きにしも非ずです。
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 カキは天然の亜鉛を一番多く含んでいる食材ですが、その他に、ビタミン類(ビタミンA・B1・B2・B6・C・葉酸・イノシトールなど)やミネラル類(カルシウム・カリウム・リン・鉄・ヨード・銅・マグネシウム・マンガン・コバルトほか)、タウリンが豊富に含まれています。また、カキのたんぱく質はすべての必須アミノ酸と12種以上の他のアミノ酸をも併せ持っています。

 カキには多くの食効がありますが主だったものをあげてみました。
 ①貧血症の改善:貧血にはヘモグロビンを生成する鉄成分が不可欠ですが、その生成に必要な酵素活性を高めるには銅が必要です。カキには銅が多く入っています。
 ②美肌:カキには顔色を美しくし、肌をきめ細かくする働きがあります。これは、カキに含まれる、メチオニン、タウリンなどの硫黄を含んだアミノ酸の働きいるものです。
 ③酒毒を消す:良質のたんぱく質がアルコールから肝臓を護ります。
 ④糖尿病、間接リウマチ、悪性腫瘍:亜鉛の効果
 ⑤味覚障害:亜鉛の効果
 ⑥滋養強壮・精力増強:亜鉛はセックスミネラルとして、中国では考えられています。

 一方、漢方に使われる生薬としてのカキは牡蠣(ボレイ)と呼び、カキから食用部分を取り除いた貝殻を使用します。日本市場の生薬牡蠣は広島県の養殖カキが使用されています。
 その有効成分の大部分は炭酸カルシウムで、漢方では精神神経用薬として使用される処方に配合されています。精神安定、鎮痛、抗痙攣作用があります。また、制酸作用があることから多くの胃腸薬に配剤されています。

 翌日は、勝浦、串本、白浜を経由して帰途につきました。
 途中、1月いっぱいで立ち入りができなくなった「鬼ケ城」に立ち寄りました。鬼ケ城は国指定文化財・名勝天然記念物です。海風蝕と数回の大地震で隆起した凝灰岩の大岩壁で、東口から西口の弁天神社まで約1kmの間に、大小無数の洞窟が階段状に並んだ奇岩奇勝で知られる名勝です。桓武天皇(737~806)の時代、この地に隠れ、熊野の海を荒らし回り、鬼と恐れられていた海賊(多娥丸)を、天皇の命を受けた坂上田村麻呂(751~811)が征伐したとの伝説があり、それに基づいて「鬼の岩屋」と呼ばれていましたが、後に「鬼ケ城」と言われるようになったということです。
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 串本から大島へは立派な橋が架かり、歌に歌われた「ここは串本、むこうは大島、なかを取持つ巡航船、あらヨイショヨイショヨイショ」の風情はなくなりました。海岸沿いに国道42号線を走ってきますと、大島にかかる赤い橋が見えてきます。その手前には、大島に向かって橋脚を並べたように橋杭岩がそそり立っています。
 今回は引き潮時で、直立する岩のそばまで行くことができました。1400万年前、大峰山脈から那智・熊野に至る地域で起こった火成活動の結果、北北西から南南東に延びる地層の割れ目に沿ってマグマが上昇し冷え固まったのが橋杭岩になったということです。黒潮の荒い波にさらされ、硬い橋杭岩だけが浸食されずに残ったのです。
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 寒中、南紀の暖かい風に吹かれて、その日は穏やかだった黒潮の海を背に、生き残った奇岩の風景にぐっと胸にくるものがあって、今回の旅は心洗われる旅になりました。
 その時、近くを走るJR紀勢線を特急「くろしお」が一陣の風を吹かせて通り過ぎてゆきました。

この記事へのコメント

昨日はありがとうございます!
2011年04月10日 00:26
田部様

昨日はありがとうございました。
うめ菜店長の廣田啓介です。
名刺を店舗で保管させていただいておりますので、
こちらにご連絡させていただきました。

取り急ぎお礼のみで失礼いたします。

早速昨日いただいたアイデアを
実践してまいります。

今後ともよろしくお願いいたします。

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