なまこ雑感 (117)

 「ナマコ」を初めて食べた人は勇敢だとよく言われますが、どんな食材でも最初に箸をつけた人は勇敢だったと思います。ナマコを最初に食べた人が誰で、いつごろ食べはじめられたのか、詳しいことは何も分かっていません。
 現在、世界でナマコを食している民族は、日本人、中国人、南太平洋の島人で、ヨーロッパでは南部イタリアのシチリア島とアフリカのマダガスカル島の人々だけだそうです。
 日本人がナマコを食べ始めたのは「古事記」に記載のあることから、かなり古くからの食材であったことがうかがわれます。中国でも、かなり以前から食卓に上がっていたのでしょうが、はっきりとわかるのは、清朝(江戸時代)に大量のナマコが日本から輸入され、18世紀にオーストラリアのバリアフリーをナマコを求めて渉猟したことが記録されていますので、中国でのナマコ料理はこの頃から盛んになったと思われます。

 日本人が食べるナマコは「酢ナマコ」が中心です。一般に冬至のころが一番おいしいといわれ、「冬至なまこ」と呼ばれています。市場には、コリコリした「赤ナマコ」と柔らかい「青ナマコ」があります。関西では「赤ナマコ」を珍重し、関東では「青ナマコ」が好まれています。ただ、ある説では、関東人はナマコの味に無頓着なため、大味な「青ナマコ」が送られているのが実状との話があります。これらの赤、青のナマコは動物分類学上は同じマナマコに属しています。
 一方、中国では、ナマコはでなく、乾燥品を用いて料理をします。日本からの重要輸出品の乾燥ナマコは「いりこ」の商品名で通っています。

 ナマコの中国名は「海参」と呼ばれます。海の人参の意味です。名前からも分かるように、人参と同じような薬効食効があるとされ、効果のあるサポニン成分が入っています。
 海参は、味は鹹(カン:しおからい)、温性で高タンパク・低脂肪の食物です。腎を補い精を盛んにすることから、腎虚をはじめ虚弱体質、糖尿、乾燥便秘によいとされています。
 外用では、ナマコから取り出したサポニン成分ホロトキシンが真菌に効果のある事がわかり、水虫、たむしの治療薬として開発されました。今でも、天然物の水虫薬として販売されています。

 ナマコの英名は Sea cucumber、直訳すれば「海のきゅうり」です。形からの命名です。ちょっと下品な話をしますと、石垣島では「ウマノマラ」と呼ばれています。「マラ」は梵語で修行を邪魔する「魔」のことですが、もうひとつの意味として、僧侶の隠語の「陰茎」で、勿論、ここでの「マラ」は後者のことです。よけいなことでした。
 今夜は酢ナマコで一杯と行きますか。勿論、赤ナマコで。

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