医者任せの健康管理/神農祭に常備薬を思う (110)

 今年の神農祭は大勢の人出で賑わいました。11月22日は午後から土砂降りの雨になったことから、晴天の23日は3万人以上のお参りがあったそうです。拝殿での拝礼に約2時間待ちの行列ができたことも近年にない出来事でした。大阪の祭は1月の恵比寿さんに始まり、この神農祭で終わります。
 普段は、くすりの町「道修町」の一角に、ひっそりと佇む神社の正式の名は「少彦名神社」といい、日本の医薬の神様「少彦名命」を御祭神としています。また、地元では一般に「神農さん」と呼ぶように、中国の農業、医薬の神「神農」も同時にお祀りしています。
 年に一度、家族や仲間の健康を願ってのお参りは、病気で苦しんでいる人の健康への祈願、また健康な人たちにはこの健康への感謝を表す行事なのかもしれません。
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 健康については、最近特に気になることがあります。医療制度の発達によって、自分や家族の健康を自身で考え守ることを放棄し、すべてをお医者任せにしてきたことです。
 少し前の家庭には家族それぞれに合った常備薬があって、頭痛がする、熱が出た、くしゃみが出る、お腹が痛いなどの体に変調が現れると、氷で冷やしたり、常備薬の風邪薬や胃腸薬を飲んで、しばらく様子を見て、どうしてもという時に医者に駆け込んだものです。
 今では、少しでもおかしいとなると、自己判断なしに、医者へ直行です。
 病院や医院では、長時間待たされ、血圧と体温を測定し、解熱薬や降圧剤が投与され、感染症を抑え込むためにと抗物質が渡され、栄養補給のため点滴やビタミン剤や、時には、食欲不振や胃もたれ解消にと胃薬も追加されます。
 お医者さんは、「分からない市販の薬を飲む前に、調子が悪くなればすぐにお越しください。早く対処できてよかったですね。」といいます。
 薬の特に一般薬の知らないお医者さんは多いのです。薬の説明書に「薬を服用していて、何か変わったことがあれば、医師、薬剤師にご相談ください」と書かれていますが、医師に相談しても薬について正確にアドバイスはしてもらえません。一般用の薬についてはほとんど知識の持ち合わせはありません。

 少彦名神社の社務所ビルの3階に「くすりの道修町資料館」があって、昔から飲み続けられてきた「家庭薬」の歴史と古い製品や現在も市販の薬が展示されています。神農祭当日も多くの方がご覧になられました。
 見学者の声を拾ってみますと、「いくつかは家にある」「昔から飲んでいる」「安心だ」「体に合っている」などの声とともに、「懐かしい」「今も売っているの」と過去のことのような声もありました。
 少しずつ忘れ去られようとしている家庭薬を、「自分の体は自分で守る」を意識の一つとして再構築することが、日本の医療の健全さをも守ることになるのではと思っています。
 常備薬は確実に生きています。
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