カラスウリの名前の由来 (108)

 毎年、10月の末から11月の初旬にかけて、石川県加賀市大聖寺にある菩提寺にお参りすることが、年中行事のひとつとなっていて、今年も11月13,14日、一泊どまりで出かけた。親戚の家もいくつかあることから、ご挨拶に行くことにしている。
 自宅の冷蔵庫の上においてある籠に、黒ずんだ実をつけたサルトリイバラが活けてある。これは4年前に大聖寺から送ってもらったもので、そのことを思い出して、サルトリイバラの採集に出かけることになった。
 少し走ると、小さな藪がいくつもあって、ここかしこに真っ赤な実をつけたサルトリイバラが垣間見れた。そのいくつかを採集して、ふと見上げると朱色のカラスウリの実がぶら下がっているのが見えた。それも採集したかったが、高くにあって手が届かない。
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 カラスウリの命名には少し疑問を持っていた。漢字では烏瓜と書く。この朱色の実はカラス色にはそぐわない。カラスはこの実を食べないので、カラスの食べ残しに見立てたとの説もある。また、大きいものに「カラス」、小さいものに「スズメ」と名づけた植物はいくつかあることから、「スズメウリ」があるかと調べてみると、確かにそれは存在した。それでもまだ納得できなかったが、 しばらくして、やっと納得できる説に巡り合った。
 「カラスウリはカラシュウリからの転化で、漢字では唐朱瓜と書く。中国から伝わった朱墨の原料である辰砂は卵形ほどの大きさのものもあり、それに似ていることからの命名である。」

 カラスウリの根は王瓜根(オウカコン)または土瓜根(ドカコン)、果実を土瓜実、種子は王瓜仁といい、漢方薬では共に、利尿、淨血薬として黄疸、下血に用い、また催乳の効果もある。
 
 一方、一回り大きい黄色の実をつけた「キカラスウリ」の根は瓜呂根(カロコン)とよび、王瓜根と同様に利尿、催乳の効果がある。その根からとったデンプンが天瓜粉(テンカフン)で、湿疹、その他の皮膚疾患に用いられる。

 その日の宿は山中温泉にとった。山中は加賀温泉郷の中では一番再開発に力を入れていると見受けられる。名勝「こおろぎ橋」までの「ゆげ街道」の両側には瀟洒な店が軒を並べ、対岸の散策路は紅葉のトンネルをつくり、勅使河原宏デザインのS字型「あやとり橋」は古い温泉郷に妙に溶け込んでいる。
 先祖の霊にこうべを垂れ、山中節が流れる温泉に浸かった後の一献は心洗われる思いであった。

 翌朝、白山スーパー林道に向かった。11月10日で岐阜県側は閉鎖されたが、石川県側はまだ開通していて、途中の「ふくべ(瓢箪)大滝」まで行けるという。全山は燃えるような紅葉で、山頂近くには積雪があり、厳しい冬の訪れ前の綾錦を見せていた。日本の美しさは自然の色の中にある。いつも感じる風景を堪能した旅であった。

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